毛細血管中の通過率が重要な血流


サラサラ血液
理想的な赤血球。ひとつひとつがバラバラに離れ、きれいな丸い形をしています。
ドロドロ血液
赤血球が座布団を重ねたようにくっつき合って大きな固まりを作っています。

 健康の基本が血液サラサラにあることはTVや雑誌で頻繁に取り上げられ、最近ではすっかり常識となりました。病気の9割が血液検査により判断できると言われるほど、血液には身体の情報が詰まっています。
 では血液サラサラであることがなぜ大切なのでしょうか?
身体の毛細血管中を血液がなめらかに通過させるために血液サラサラであることは容易に考えつきますが、実は血液の中にある赤血球の変形能力を高めるために血液サラサラが大切であることを理解しましょう。
心臓から送り出された血液は、総延長なんと10万キロメートル(地球を2周半分)にも及ぶ長さの血管を流れ、その間に身体中の細胞に酸素や栄養素を運び、二酸化炭素や老廃物を持ち帰る役目を担っています。
ところが、その10万キロメートルもある血管のほとんどが毛細血管で、その直径は髪の毛より細く平均3ミクロンでしかありません。赤血球の直径はおよそ8ミクロンであり、そのままでは毛細血管の中を通過することができません。自分より細い道を通るために赤血球には特別な能力が備わっています。それが「赤血球変形能」と呼ばれる能力です。健康な赤血球はこの能力が高く、自由自在に自らの身体を変形させ、自分より細い毛細血管中をスムーズに流れていくことができるのです。



サラサラ血液の赤血球変形能

ドロドロ血液の赤血球変形能

赤血球変形能の高さが、
    血液の健康を決める

 赤血球の寿命はほぼ120日。人間と同じように若いときは弾力に富み、赤血球変形能も充分にありますが、寿命が近づくと弾力性ががなくなり、変形能も低下します。こうなると細い血管の中を通ることができません。その他、血液中に中性脂肪やコレステロールが多い高脂血症の状態や糖尿病のような高血糖の状態、血中に活性酸素が増えた状態の場合でも赤血球が硬化し、変形能が失われます。機能が落ちてしまった赤血球は通常、身体の免疫組織によって処理されるので問題ありませんが、免疫系のバランスが崩れると、変形能を失った赤血球がいつまでも血液中に残ることになってしまいます。この状態が血管の中を詰まらせてしまうこととなります。赤血球を軟式テニスボールにたとえてみましょう。新品のボールは、柔らかく弾力に富み、つぶしても引っ張っても丈夫で、いろいろな形に変形できます。しかし、古くなったり、風雨や紫外線によって傷んだボールはゴムが硬化して、無理に変形させるとパンクしてしまいます。まさにこれが赤血球変形能を失った状態です。
 つまり赤血球の柔軟性や弾力性の強さが血液の健全さの証なのです。


ドロドロ血液が引き起こす恐ろしい病気

 ある大学付属病院の研究室で血液検査をしたところ、健康な人も含めて、約半数の人がドロドロ血液だと分かりました。ドロドロ血液は中高年に多いと考えられやすいですが、
 生活習慣が悪いと10代でもドロドロになります。ドロドロ血液の大きな原因のひとつが、赤血球変形能にも大きな影響を及ぼすコレステロールです。コレステロールや中性脂肪が必要以上に多いドロドロ血液は「高脂血症」と呼ばれ、やがて動脈硬化となり、日本人の死因の上位を占める脳血管疾患(脳卒中など)や虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)の引き金となります。
 高脂血症は多くの場合、ほとんど自覚症状がありません。
血液サラサラテストであなたの血液をチェックしてみて下さい。

血液をドロドロにする5つの原因

1.脂肪・糖分・蛋白質のとりすぎ
ドロドロの血液は3大栄養素の取りすぎが第一原因

2.悪玉コレステロール
必要以上に増加したコレステロールは血液ドロドロの原因となります。

3.酵素・ビタミン・ミネラルの不足

4.睡眠不足や運動不足などの乱れた生活習慣

5.ストレス